【職場復帰可能診断書の取り扱い】
復職判定時の会社側基本スタンスとしては
“社員が会社に対して負う、雇用契約上の債務の概念”に基づいて判断することが肝要です。
いくぶん厳しい表現となりますが、過重労働や過酷なパワハラによる労働災害(労災)を除けば
メンタル休職はあくまで私傷病であり、休職期間とはすなわち解雇猶予期間ですので
復職判定の場では「休職者側が主体的に、労務提供能力の回復を会社に示す」ことが
必要となります。
では、主治医が作成する「職場復帰可能診断書」は
「労務提供能力回復の保証書」となり得るでしょうか?
スーパー精神科医?であれば
患者さんの就労環境や業務内容や職場の人間関係を分析し、完全に治癒させた上で
「労務提供能力回復保証書としての診断書」を作成してくれるかもしれませんが
いうまでもなく非現実的です。
じつは多くの場合、「職場復帰可能診断書」とは「ドクターストップ解除意見書」に過ぎません。
つまり、「要休職状態からは脱したので、あとは職場側で判断してください」という主旨です。
主治医としても、職場が求める労務提供水準(職場復帰許可水準)がわからないので
患者さんがいくぶん不十分な回復具合であったとしても、診断書を発行してしまうのです。
こういった診断書は、概ね「自宅からの通勤と、職場で定時勤務の時間帯を過ごすくらいはできるでしょう」と見積もっているに等しく、労務提供能力の観点から吟味されているわけではありません。
さらには「半日勤務を週3日から始めること」などと付記されることもあるため、
職場側は困惑するばかりです。
しかし、もし上述のような付記事項が診断書に記載されていたとしても
職場側のルールを破ってまで、復帰させる責務はありません。
トラブルを避けるために、予め休職者と主治医に対して、自社の職場復帰許可水準を周知しておいたり
診断書が提出されたら、休職状態のまま2-3週間の通勤訓練を課すことで回復状態を推測する、などの
方法が有効でしょう。
医療機関が提供するリワークプログラムへの参加勧奨も効果的ですが
内容的に、ホワイトカラーの職場復帰訓練とはほど遠いプログラムの施設があるなど
まだまだ施設間のクオリティにばらつきがある印象です。
個々の社員と組織の健康を保ち、十分な能力を発揮して欲しいと願うからこそ
復職可否判断には慎重を期していただきたいものです。

